突発性難聴

突然の難聴

中耳炎など中耳の病気ではなく、内耳、特に蝸牛部分の障害によって起こります。聴力検査では感音性難聴を示します。

原因について

内リンパ水腫

原因不明で急に耳が聞こえなくなる。現在もなお、はっきりした原因はわかりませんが、有力説(仮説でありエビデンスで証明されていません)がいくつかあります。「ウイルス感染」「内耳循環障害」「内リンパ水腫」の3説です、いずれの説も内耳での異常が出現します。

  • 「ウイルス感染」
  • 「内耳循環障害」
  • 「内リンパ水腫」

3つの仮説

ウイルス感染

帯状疱疹ヘルペス、口唇ヘルペスにしられる「ヘルペスウイルス」、「ムンプスウイルス」、「麻疹ウイルス」、「インフレンザウイルス」などのウイルス説です。

ポイント

  • 難聴発作が一回きり
  • 前駆症状で風邪と似た症状
多くの突発性難聴でヘルペスの抗体値の上昇が報告されています。潜在しているウイルスが体の疲れやストレスにより活性され炎症、浮腫を引き起こし循環障害により内耳にダメージを与えるのではないかと考えられていますが医師の中でも肯定・否定派に分かれています。しかし、風邪を引いた際に中耳炎を起こす事を考えると肯けます。

内耳循環障害

突発的におこる原因として二次的な出血、血栓、塞栓の梗塞による循環障害がおこり機能不全を起こしているのではないかというもの。

ポイント

  • 星状神経遮断に効果がみられる
  • 血管拡張剤、抗凝固剤の有効性がみられる
一時的な原因やストレスで交感神経が緊張し血管を収縮させたり、基礎疾患の為に動脈硬化があったりすることで血管が細くなったり、詰まったりすることで内耳に血液の供給がされずらい事によるものではと考えるもの。

内リンパ水腫

内耳にあるリンパ液の増加を意味しています、なぜ増えてしまうのかは分かっていません。内リンパ液の増加によって外リンパ液とのバランスに影響することで蝸牛間、前庭迷路にまで影響されると考えられています。

ポイント

  • 「めまい」伴う突発性難聴は内リンパ水腫によるものではないか
  • 低音域難聴型はメニエール病と同一範疇

蝸牛間:音を電気信号にかえ大脳へ伝える所

前庭:重力や平衡感覚を感知する所➡めまい


耳鳴り

突発性難聴と耳鳴り

突発性難聴を発症すると、多くは耳鳴りも出現しますが、耳鳴りは、突発性難聴の聴力が回復されると共に改善します。

耳鳴りの特徴

聴力の低下が原因の耳鳴りには、特徴があります。それは、低下した聴力と同じ音域での耳鳴りが発生するという事です。この耳鳴りの原因は、脳との関連性があります。今まで聞こえていた音が突然聞こえなくなる事で、脳に混乱が生じます。脳は、失った聴力を補正しようと感度をあげます。すると、ノイズが発生し、それが耳鳴りとして聞こえてきます。このような働きで耳鳴りが発生することから、聴力が回復することで脳は通常の働きに戻り、耳鳴りも消失します。

増加傾向

突発性難聴の増加

突発性難聴は主に40~60代に多く、男女差はなとされています。また、若年層にもみられ、患者数も現在増加傾向にあります。年間受療者数は2001年の3万5千人から、2012年では7万5千人まで増加しています。

 


病院の診断・検査

病院での治療によって3分の1は完全に治癒すると言われます。残りの3分の1は回復はしますが、ある程度の難聴が残る。また、3分の1は難聴が回復しないと報告されています。

耳鼻咽喉科

問診

  • 基礎疾患(ウイルス性、糖尿病、心臓、腎臓)の有無
  • 発症前に風邪に似た症状はあったか
  • 耳の耳閉感、耳鳴りの有無
  • 難聴は両側・片側か、今まであったか、進行しているか
  • めまい発作があるのか

これらの問診によって、おおよその判断とオオジオグラム(聴力検査)で診断を確定させます。

視診

医師の目で見える範囲の異常を探します、おもに外耳道と鼓膜に穿孔や癒着はないか、突発性難聴は第Ⅷ脳神経(蝸牛管と前庭神経を合わせて)だけの内耳性障害なので、他の脳神経、顔面神経、外転神経、三叉神経に異常はないかをみます。

オージオグラム(聴力検査)

気伝導、骨伝導を純音聴力で診断していきます。測定方法はオージオメータという測定器をもちいて、ヘッドホンの様なレシーバーで音を聞きわける気導聴力、耳の後ろにバイブレーターを当て音を聞き分ける骨導聴力を計測することでほとんどの診断は可能とされています。

聴覚過敏

  • 気導聴力の低下だけみられる伝音難聴
  • 気導・骨導聴力の低下みられる感音難聴➡突発性難聴
オージオグラム

エックス線、CT、MRI

なかには脳に腫瘍や異常がある場合にCT、MRIが有効となりますし、耳の骨の異常はレントゲンが有効ですが、突発性難聴の診断で大切なのはオージオグラム(聴力検査)です。

診断基準と重症度

診断基準Ⅰ主症状

  1. 突然の難聴
  2. 文字通り即時的な難聴、または朝、目が覚めて気が付くような難聴。
  3. 高度な感音難聴は必ずしも高度である必要はないが、実際問題としては「高度」でないのと聴力が低下したことに気が付かないことが多い。
  4. 原因が不明、または不確実 つまり原因が明確でないこと。

診断基準Ⅱ副症状

  1. 耳鳴り 難聴の発生と前後して耳鳴りを生じる事がある。
  2. めまい、および吐き気、嘔吐 難聴と前後して、めまいや吐き気、嘔吐を伴うことがあるが、めまい発作を繰り返すことはない。

【突発性難聴】診断の基準

  • Ⅰ主症状、Ⅱ副症状の全事項を満たすもの 。
  • Ⅰ主症状の1、2の基準を満たすもの。
  1. recruitment現象の有無は一定せず。
  2. 聴力の改善・悪化の繰り返しはない。
  3. 一側性の場合が多いが、両側性に同時罹患する例もある。
  4. 第Ⅷ脳神経(聴神経・内耳神経)以外に顕著な神経症状を伴うことはない。

recruitment現象:両耳のバランス検査。感音性難聴のある場合に、同じ音の変化でも健側よりも患側に大きく変化して聞こえる現象。

重症度の基準

  • Grade1、初診時聴力が45dB未満
  • Grade2、初診時聴力が40dB以上60dB未満
  • Grade3、初診時聴力が60dB以上90dB未満
  • Grade4、初診時聴力が90dB以上
  • 注1、聴力は0.25、0.5、1、2、4KHzの5周波の閾値平均とする。
  • 注2、この分類は発症後2週間までの症例に適用する。
  • 注3、初診時めまいのあるものではaを、ないものではbを2週間過ぎたものでは、cをつけて区分する。

病院の治療は薬

ステロイドによる投薬

突発性難聴の治療は通常ステロイドホルモン(内服または点滴)とビタミンB12、および血流や代謝改善剤が主体です。
発症から1週間以内に治療を開始しないと、治療薬の効果が期待しにくい場合があります。治療によって3分の1は完全に治癒すると言われます。残りの3分の1は回復はしますが、ある程度の難聴が残る。また、3分の1は難聴が回復しないと報告されています

  • ステロイドホルモン薬…病院での第一選択の治療
  • ビタミン薬
  • 抗凝固・血流促進薬
  • 神経代謝賦活薬
  • 利尿薬
  • 抗ウイルス薬

薬の特徴

ステロイドによる点滴

ステロイド薬

病院での治療は薬の処方が主体。診断されると、薬物療法ステロイドホルモン薬を主に静脈点滴、内服などでの治療が開始されます、ステロイドは抗炎症作用により、内耳で生じているであろう炎症と浮腫を鎮める効果があります、ステロイドは強く副作用の恐れから使用期間は長くせずに医師の判断で一定期間までです、どちらの病院でも必ず第一選択の治療法となります。プレドニン5mgなど。強い薬の為、胃の保護薬として、レバミピド100mgなどを同時処方します。

ビタミン薬

ビタミン薬としてメチコバール、メコバラミン0,5mg(抹消神経の障害を回復させる目的)のビタミンB12剤、薬の商品名に違いはあれど、成分にはほとんど差はありません。しかし効果については疑問ではないかと考えられています。

抗凝固・血流促進薬

抗凝固・血流促進薬として数種類の薬があります、首から脳に入り内耳へ繋がる栄養血管は細いために血栓の塊が詰まってしまいやすく、これを改善させ、防ぐ働きをします。

代謝薬

神経代謝の薬としてアデホスコーワ錠(末梢神経の代謝を良くし、血管拡張させ働きを改善させる目的)があります、ビタミン薬と併用して処方される事が多い薬です。

利尿薬

利尿薬としてイソバイド錠(内耳の水腫れを改善させる目的)があります、内耳の過剰な水腫を減少させる事で、外耳とのバランスを良くさせるものです。

抗ウイルス薬、その他

抗ウイルス薬、帯状疱疹薬としてバルトレックス錠、ゾビラックス錠(内耳でのウイルスの活性を抑制させる目的)があります。吐き気に抗ヒスタミン系鎮暈・鎮吐剤のセファドールが内耳へ伝わる刺激を抑えて、めまいを止める薬です。